鳴門市女性子ども支援センター「ぱぁとなー」の相談員が今春、大半入れ替わり、利用者から「経験豊富な相談員がいなくなり、心もとない」と不安の声が上がっている。相談員6人中、正規職員1人が異動したのに加え臨時・嘱託職員4人が退職したため。市は「退職は想定外。結果的に不安を与えて申し訳ない」としている。
支援センターは、人権推進課内にあり、ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待など女性や子どもに関する相談を受けたり、自立を支援したりしている。
3月までの相談員は課長と正規職員1人、臨時職員1人、嘱託職員3人の計6人。正規職員は、2007年度に人権推進課に配属されてから女性に関する相談業務を担当し、10年度のセンター開設後も継続していた。異動について市は「1人の相談員に頼りすぎず、組織として持続的に運営していくため」としている。
臨時・嘱託職員は2~4年間勤務。うち嘱託職員1人は事前から退職希望が出ていたが、3人の退職は想定していなかった。市は「それぞれに事情があったようだ」と説明する。
退職した職員の1人は理由について「長年携わっていた職員が異動し、新体制ではやっていけないと思った」と話した。
市は急きょ相談員を募集し、3人を採用。4月からは正規職員3人と共に計6人が相談に当たっている。
こうした状況に対し、利用者は3月末に正規職員の残留を求める陳情書を市に提出したほか、6月15日には相談員の異動・退職の経緯の説明を求める質問書を出した。ある相談者は「夫に追われている人もいる。命に関わる問題であり、的確な助言が受けられるのか不安だ」と指摘する。
市は「真摯(しんし)に受け止め、県の中央こども女性相談センターなどと連携し、的確な支援が行えるよう努めたい」としている。
鳴門市女性子ども支援センターの昨年度の相談件数は5394件で、配偶者暴力や離婚などに関することが3578件、虐待などの子ども関係が1816件などだった。