第3次安倍政権発足後、初の大型国政選挙となる第24回参院選が22日、公示された。憲政史上初の合区となる「徳島・高知」選挙区(改選数1)には、午前8時半からの立候補届の受け付け開始と同時に▽大西聡(53・無所属新=民進、共産、社民推薦)▽福山正敏(45・幸福新)▽中西祐介(36・自民現)の3氏が届け出た。3候補は徳島市や高知市で出陣式を行って決意表明し、7月10日の投開票日に向けて18日間の選挙戦に入った。経済政策「アベノミクス」の評価や安全保障政策の是非を主な争点に、与野党が改選121議席の過半数獲得へ攻防を繰り広げる。自民など改憲勢力が国会発議に必要な3分の2(162議席)を占めるかが焦点だ。合区の導入に伴い、県境を越える選挙戦の行方も注目される。

 「徳島・高知」選挙区の立候補届の受け付けは徳島県庁11階の講堂で行われ、くじの順に3陣営が手続きを済ませた。届け出から受理までの様子はタブレット端末のテレビ電話機能を通じて高知県庁に伝えられ、各陣営は高知側でも「選挙の七つ道具」と呼ばれる公給物品を受け取った。

 大西氏は、安保法制の廃止を訴えの主軸に据え、「憲法に基づく政治を取り戻す」と主張。アベノミクスが格差と貧困を拡大させたとして、社会保障の充実による消費拡大や景気回復を訴えている。

 両県の各地で小まめに集会を開き、推薦する民進や共産などの議員や支援者らが支持を呼び掛けている。市民団体などの動きも活発で、無党派層や若年層への浸透に力を注ぐ。

 福山氏は、消費税や所得税などの減税・廃止を進める「減税特区構想」を掲げ、国防強化も強く訴えている。支持母体である幸福の科学会員や党支援者と両県を回り、既存政党の批判層や無党派層の取り込みを狙う。

 中西氏は合区の解消を前面に掲げ、「地方重視」の姿勢を強調。地域活性化や防災・減災対策の面から「高速道路などの基礎インフラの整備が喫緊の課題だ」と訴えている。

 財務大臣政務官としての実績や若さもアピール。両県の国会議員や県議らが活動を支えて支持拡大を図る。連立を組む公明から推薦は得ていないものの、実質的な協力体制を確立している。

 各候補は選挙期間中、徳島と高知両県を行き来して有権者に支持を訴える。3候補全員が徳島出身のため、高知の投票率低下が懸念される。