四国4県の空き家を生かした遍路宿の整備に取り組んでいる認定NPO法人ニュースタート事務局(千葉県市川市)の二神能基理事(73)が23日、徳島県庁で記者会見し「遍路文化を次世代に継承するとともに、地方創生にもつながる事業。多くの空き家の提供をお願いしたい」と協力を呼び掛けた。
二神理事は、四国霊場の数と同じ88カ所の遍路宿「お遍路ハウス」を設ける構想や事業概要を説明。「若者や外国人の歩き遍路は少しでも安い宿を探しており、こうしたニーズに応える体制ができていない」と訴え「金もうけではなく、お接待の精神で取り組んでくれる協力者を募りたい」と強調した。
歩き遍路からは歓迎する声が聞かれた。9番札所法輪寺(阿波市土成町)近くを歩いていた岡崎晋太郎さん(31)=さいたま市=は5月に会社を辞め、自分探しを目的に約1カ月後の結願を目指す。「お金が心細く、野宿中心で回っている。大雨や体調不良のときに安く泊まれる宿があれば、道中の安心感が違う」と言う。
一方、四国八十八ケ所霊場会から認定された「公認先達」の70代男性は「過疎化や空き家対策に目を付けた事業の趣旨は素晴らしい。ただ、これまで歩き遍路を支えてくれた既存の遍路宿も経営は厳しい。共存できるように考えて整備して」と注文を付けた。
協力などの問い合わせは事務局<電047(307)3676>。