避難所の駐車場に並ぶ車。熊本地震では車中泊する被災者が相次いだ=5月14日、熊本県益城町総合体育館

 熊本地震の被災地で相次いだ「車中泊」について、徳島県内の21市町村の地域防災計画に対策が明記されていないことが分かった。車中泊はエコノミークラス症候群の要因ともなり、災害関連死につながるだけではなく、避難の実態が見えづらくなるといった課題がある。専門家は「避難の在り方を地域で考え直すべきだ」と指摘している。

 熊本地震では、車で寝泊まりしていた熊本市の50代女性が「前震」の4日後の4月18日、車から降りた際に倒れて死亡するなど、多くの避難者がエコノミークラス症候群を発症。入院が必要な重症患者は今月9日時点で51人に上っている。

 徳島県内の24市町村の地域防災計画では、小松島、阿南、美馬の3市を除く21市町村が車中泊対策を明記していない。

 徳島市の計画には直接的な表現はなく、市危機管理課は「公園等での避難者に含まれている」と回答した。同市を含む多くの自治体が「今後新たに出るであろう国の車中泊対策の指針を踏まえて検討する」としている。

 一方、阿南市は地域防災計画で「車中泊の避難者に対し、エコノミークラス症候群の注意喚起を行う」、小松島市は「車内等生活避難者は避難所で登録を行い、食料等の支給を受ける」などと記している。

 北島町は地域防災計画には明記していないが、計画に基づく避難所運営マニュアルに対策を記載している。

 車中泊は、2004年の新潟県中越地震を機に対策の必要性が指摘されるようになった。だが、地域防災計画の基となる国の防災基本計画にも示されていないことなどから、熊本県益城町や南阿蘇村なども想定していなかった。

 熊本地震の被災地で車中泊の実態を調査した徳島大地域創生センターの井若和久学術研究員は「徳島でも大規模災害発生時、車中泊による避難は起こり得る。どうやって避難するかや避難所の運営をどうするかなどを含め、各地域で対策を練り直してほしい」と呼び掛けている。