非常に強い台風24号が四国の南海上を通過した30日、徳島県内では全域で暴風雨による被害が相次いだ。倒木で空き家が損壊したほか、停電も一時、徳島市や阿南市、牟岐町など10市町の約1万1千世帯に及んだ。避難所に身を寄せた住民は不安な夜を過ごした。
県内は沿岸部を中心に猛烈な風に見舞われた。最大瞬間風速26・9メートルを記録した徳島市では、女性(89)が家の外に出た際、風で倒れた棚と植木鉢が当たり右足の小指に軽いけがを負った。鳴門市撫養町木津の国道では、北島町の男性(25)運転の軽トラックが強風にあおられて横転。右腕を切るなどの軽傷を負った。
美馬市木屋平太合では、強風で折れた木が直撃し、空き家の屋根などが損壊した。
鳴門市瀬戸町では、4日の台風21号上陸に続いて高潮被害が発生し、道路が最大40センチ冠水した。家屋への浸水被害はなかった。阿南市橘町でも高潮とみられる被害で民家1軒が床下浸水した。
四国電力徳島支店によると、停電は30日午後9時時点で6市町の1700戸が復旧していない。
西日本豪雨で土砂崩れが相次いだ三好市や県南部の住民は不安な夜を過ごした。
三好市井川町辻の井川公民館には一時、11世帯22人が身を寄せた。自宅近くの谷川に異変を感じて妻と避難した男性(66)は「濁った水があふれそうになっていた。上流が崩れたのかも」と不安そうに話した。
この日朝から海陽町役場宍喰庁舎に避難した陸田ヨネ子さん(85)は今年、4度目の避難となった。「1人暮らしなので、家にいるのは不安。今晩は避難所で過ごすつもり。台風はもう来てほしくない」
阿南市羽ノ浦町古毛、自動車修理業西田久二さん(70)は西日本豪雨で自宅の裏山が崩れて以降、避難準備情報が出るたび家族7人で羽ノ浦公民館へ避難している。「孫が小さいので裏山が崩れないか心配。次の台風も来ているし、早く安心して暮らしたい」と疲れた様子で話した。