最優秀賞受賞作品を手にする大本さん=阿波市の自宅

 第25回新聞配達に関するエッセーコンテスト(日本新聞協会主催)で、徳島文理高校2年大本泉さん(17)=阿波市阿波町=の作品が、中学・高校生部門で第1席の最優秀賞を受賞した。昨年7月に体調不良で1週間ほど入院した際に、新聞を病室まで届けてくれた男性配達員との交流をつづった。

 題名は「病室まで届く新聞」。新聞配達員に毎朝体調を気遣ってもらったり、優しい言葉を掛けてもらったりしたエピソードを紹介している。

 何げない会話の中から感じた配達員の温かさや、手渡しで受け取った新聞を病室で読める喜びを生き生きと描いた点などが評価された。

 大本さんは「入院生活は心細かったが、毎朝の会話から元気をもらえた。自分の経験や気持ちをうまく表現できた」と受賞を喜んでいる。

 県内からは他に中学・高校生部門で徳島文理高1年の齋藤茉白(ましろ)さん(16)=徳島市中洲=が入選、小学生部門で吉井小4年の松田大地君(9)=阿南市加茂町=が入選した。

 コンテストには年齢別の3部門に全国から3432点の応募があり、大学生・社会人部門の最優秀は静岡県焼津市の後藤志津恵さん(45)、小学生部門の最優秀は福岡県粕屋町の清武琳君(9)が受賞した。

 病室まで届く新聞
 

 「新聞どうですか」

 聞き慣れない声。そして、今まで経験したことのないような重い体の私。私は今、どこにいるのだろう・・・と思いながら、また眠ってしまった。

 そして翌日。もう一度「新聞どうですか」

 今度は、ハッキリと聞こえた。

 昨年、私は急に体調を崩して入院し、手術をした。このとき、病院にも新聞配達員の方が来てくれることを知り、私はうれしくなった。歩けるようになり、歩行器を押しながら病室の扉を開けた。

 「おはよう。元気になったんですね」と、優しく声を掛けてくれた。それから毎朝、退院するまで、病室で新聞を心待ちにする私がいた。いつものように、家で読む新聞とは違い、健康であるありがたさを感じながら読むことができた。

 日ごとに元気になる私を喜んでくれた配達員の方。その優しさが私の支えとなり、新たな命の息吹を感じた。

 新聞と共に真心を届けてくれたこと。忘れはしない。