徳島県内の障害者野球チーム「徳島ウイングス」と、障害者らでつくる「徳島車いすバスケットボールクラブ」が活気づいている。いずれも最近メンバーが増えているためで、鳴門市の「NARUTO総合型スポーツクラブ」などの支援を受けて一段と練習に熱がこもっている。ただ依然として選手層の薄さは否めず、両チームはさらなる加入を呼び掛けながら、全国大会の出場を目指して汗を流している。
徳島ウイングス 全員野球 チーム力向上
徳島ウイングスは、2015年4月に誕生。昨年5月の全国身体障害者野球大会に「普及枠」で出場してマスコミで多く取り上げられた影響で、大会後に選手8人が加わったほか、支援者やボランティアも増えた。香川県から通っている人もいる。現在は選手21人を含め総勢34人。毎週日曜と毎月2回土曜に、小松島市と鳴門市で練習に励んでいる。
今年1月には、松茂中学校野球部の外部コーチを務めていた尾野浩士さん(57)=松茂町水道課長=が監督に就任した。尾野さんは、昨年6月に練習環境が十分でない現状を伝える記事を読み、松茂中との練習試合を申し出た。外部コーチを退いた中学総体終了後、ウイングスの練習に携わるようになり、監督就任の要請を受けた。
ユニホームも新調された。徳島インディゴソックスがNARUTO総合型スポーツクラブと障害者スポーツの振興に向けて提携したのに伴い、インディゴソックスと同じデザインになった。
9月16日に松山市であった全日本身体障害者野球選手権大会の予選を兼ねた中四国大会は、1回戦で強豪・岡山桃太郎と対戦。敗れたものの、昨年の同大会では完封されており、西上勝代表(52)=鳴門市鳴門町=は「得点でき、着実にチーム力は上がっている」と言う。
初の公式戦で代打本塁打を放った峰和正さん(25)=徳島市名東町=は「とにかく思い切って振ろうと思って打席に入った」と振り返った。
選手は増えているものの、知的障害者は出場できる人数が制限されている上、他チームに比べて若い選手が少ない。今後活躍が期待されている清諭士(さとし)さん(36)=徳島市丈六町=は「みんなで力を合わせて頑張っていきたい」と話す。
来年の中四国大会は徳島県で開かれる。チーム発足に尽力した湯源(ゆげん)紀(おさむ)さん(64)=藍住町奥野=は「さらに選手層を厚くして、来年の徳島大会では優勝し全国大会に出場したい」と意気込んだ。
徳島車いすバスケットボールクラブ 健常者と一緒にプレー
徳島車いすバスケットボールクラブの歴史は古い。1993年に鳴門市であった全国身体障害者スポーツ大会(現全国障害者スポーツ大会)では、県チームとしてベスト4に進出している。
ただ、近年は選手不足に悩まされ、公式戦に出場できないこともたびたびあった。選手が増えだしたのは、一時チームを離れていた中川恵龍(けいたつ)さん(36)=藍住町東中富=が復帰してから。当時5人しかいなかったため、フェイスブックで呼び掛けたり、県障がい者交流プラザの利用者に声を掛けたりして、2年前ぐらいから加入が相次いだ。
車いすバスケットは、健常者でも車いすに乗ってプレーが可能で、若い健常者の増加が目立つ。障害者5人、健常者10人が毎週3日、徳島市や鳴門市、藍住町で練習している。四国4県と岡山県のチームによる四国リーグにも参戦している。
以前から関心があったという井内ひろみさん(35)=松茂町笹木野=は「自分にできるのかなと思っていたが、温かく誘ってくれたので入りやすかった。団体競技は初めてで、一緒にする楽しさを感じている」。
7月に入った水田誠馬さん(24)=小松島市金磯町=は「声を掛けてもらえた時はうれしかった。チームの力になれるよう練習に励みたい」と力を込める。
目指すのは、地区予選を突破し、日本車いすバスケットボール選手権や全国障害者スポーツ大会への出場。中川さんは「まずは一人一人のスキルを上げていきたい。多くの人に関心を持ってもらい、徳島の車いすバスケットを盛り上げていきたい」と話している。