バングラデシュの首都ダッカで起きたテロは、現地での駐在経験や同国に関係がある徳島県人にも強い衝撃を与えた。「どうして」「まさか」。悲報が伝わった2日、関係者らは一様にショックを隠し切れない様子だった。

 2013年から2年間、JICAの青年海外協力隊員としてバングラデシュに駐在した県立池田支援学校講師の中川佳美さん(25)=東みよし町=は「怖くて鳥肌が立った」と声を詰まらせる。事件の現場は中川さん自身、何度も足を運んだカフェだった。

 カフェのすぐ近くにはJICAの寮や事務所があり、「バングラデシュに派遣されたJICA隊員や関係者は全員行ったことがあると思う」と話す。周辺は日本大使館をはじめ各国の大使館が並ぶ高級住宅街。カフェは洗練された高級店で、外国人や現地の富裕層が利用していたという。「ダッカの中でも最も安全な場所という印象で、だからこそ私もよく行っていた」

 事件を知ったのは、JICAの同期隊員で現在もダッカで民間企業に勤める友人からのメールだった。「その時はまさかこんなことになるとは思ってもみなかった」。他の友人らにも連絡を取り、無事を確認した。

 死亡が確認された邦人7人はJICAのプロジェクトに関わっていたとする報道に「バングラデシュのためにという思いで尽力してきた人たちが、どうしてこんなことになるのか」と声を震わせた。

 繊維製品の企画・製造・卸の「丸久」(鳴門市)は、09年にダッカから25キロほど離れた輸出加工区に工場を整備した。2500人の従業員を抱え、日本人駐在員も10人いるが、平石雅浩社長は「全員無事だと報告があった」と胸をなで下ろす。

 平石社長によると、メーカーなどの企業が多い場所は事件のあったカフェと離れていることもあり、落ち着いた状況。従業員には「しばらくは人の多い所にできるだけ近づかないように」と通達したという。

 中川さんと平石社長によると、バングラデシュ人はとても温厚で外国人にも親切。平石社長は「普段は本当に平和な国。テロリストのせいでこんな事件が起き、バングラデシュのイメージが下がるのがつらい」とため息をついた。