徳島駅前にあるアミコビルが1日、開業から35年を迎えた。県内唯一の百貨店・そごう徳島店をはじめ、専門店やホテル、徳島市立図書館などが入り、商業や文化の拠点として県民に親しまれている。そごうの民事再生法適用申請や明石海峡大橋開通による阪神方面へのストロー現象などの荒波を乗り越え、県都の顔として存在感を放ち続けている。
徳島駅前西地区の再開発は、徳島市百年の大計とも言われるビッグプロジェクトとして進められ、アミコビルは1983(昭和58)年10月、開業した。アミコ(amico)はイタリア語で友だちを意味する。
核となったのは、徳島そごう(現そごう徳島店)で、当時としては四国一の規模を誇り、初日は15万人が詰め掛けた。このほか、徳島市シビックセンターやホテル・東急インなどがオープンした。
98年4月には明石海峡大橋が開通し、高速バスで多くの県民が阪神方面に買い物に訪れ、消費が流出した。2000年7月には、そごうが民事再生法の適用を申請して倒産する。県民の間に衝撃が走り、行方に不安が募った。再建を断念して閉鎖した店もある中、徳島そごうは黒字経営を続けていたため、存続された。
近年は、郊外への相次ぐ大型ショッピングセンターの進出や、インターネットの普及による通信販売の影響などで、地方の百貨店を取り巻く環境は厳しい。そごう徳島店は「他店に比べ、お客さまと従業員の距離が近いのが徳島店の特徴で、お客さまとともに歩んできた35年だった。店の方針として掲げている『100年続く店づくり』をこれからも進めていきたい」としている。
アミコ専門店街では、開業時から営業している店が減り、入れ替わっている店舗も多い。アミコ店主会の田倉善宏会長(72)は「そごうが民事再生法を申請した時は、いくつかの店が出て行き、最もつらい時期だった。35年間やってこられたのは、支えてくれたお客さんのおかげ。ここ(アミコ)がなくなれば、徳島県が暗くなるという思いでやっている」と話した。
12年4月には徳島市立図書館が移転オープンし、大勢の市民でにぎわっている。今年7月に来館者が350万人を突破した。東急インは、東急REIホテルに名称変更した後、運営会社が変わり、今年4月から「スマイルホテル徳島」になっている。
開業の1983年 「池高」全盛期・TDL開園
アミコビルが開業した年は、どんな年だったのか。徳島県内では池田高校が春の甲子園で優勝、前年夏に続く夏春連覇を達成している。夏は3連覇に挑み準決勝で敗れた。
徳島空港と羽田空港を結ぶ東京便にジェット機が就航。6月の参院選では亀長友義氏が再選し、12月にあった衆院選では後藤田正晴氏、三木武夫氏らが当選している。
全国では、ロッキード事件で受託収賄罪に問われた田中角栄元首相に実刑判決が下された。4月には東京ディズニーランド(TDL)が開園している。