倒木被害に遭った太龍寺道の復旧作業に当たる住民団体の会員ら=徳島県勝浦町生名

 9月30日に徳島県に接近した台風24号の風雨のため、同県勝浦町生名の古い遍路道「太龍寺道」(国史跡)で倒木被害があった。遍路道の保存団体会員らが1日朝から復旧作業に当たったが、完全に撤去することはできず、脇道にロープを渡して迂回(うかい)路を確保した。

 現場は四国霊場20番札所・鶴林寺(勝浦町)から21番・太龍寺(阿南市)に向かう古い遍路道。高さ約30メートル、胴回り約2メートルのシイの木が根こそぎ倒れ遍路道をふさいだ。鶴林寺から連絡を受けた勝浦町の「遍路道ボランティアサークル」や、阿南市の「加茂谷へんろ道の会」の会員ら5人が午前8時ごろから倒木の撤去に当たった。

 へんろ道の会の横井知昭会長(72)=同市水井町=は「お遍路さんが増える時期なので一日も早く復旧してほしい」と話した。

 美波町では、移住体験向けなどに開放している同町恵比須浜の町文化交流施設(鉄筋コンクリート2階建て、延べ2330平方メートル)が高潮の影響で一時床上浸水した。

 30日午後7時ごろから水が流れ込み、1階の移住体験用の滞在スペースやキッチン、トイレが浸水。高さ約30センチまで水が達した場所もあった。IT会社サイファー・テックが入居するオフィス部分も浸水し、電源やLANケーブルが壊れた。同社は同町日和佐浦の協働スペース「ミナミマリンラボ」に事務機器を移して業務を行う。

 施設は恵比須浜漁港に面し、田井川と水路に囲まれている。台風接近で潮位が上昇し、逆流した海水が地盤に浸透したとみられる。

 鳴門市瀬戸、鳴門の両町でも高潮のため民家など13戸が床下浸水。三好市井川町でも民家1軒が床上浸水し、東みよし町では5戸の床下浸水が確認された。小松島市小松島町では、空き家の壁の一部(約3メートル四方)が市道上に倒れているのを市消防署員が発見。壁の回りに柵を置き、応急対応した。