「画期的な研究が世界に認められた」「基礎研究の大切さを知らしめてくれた」。ノーベル医学生理学賞に京都大の本庶佑特別教授の受賞が決まった1日夜、大阪大や京都大の大学院生時代に本庶氏の指導を受けた徳島県内の医師や研究者から喜びの声が相次いだ。
京都大大学院医学研究科で本庶氏から指導を受けた徳島大疾患酵素学研究センター長の福井清教授(64)は、ノーベル財団ホームページのライブ中継で発表を見ていた。午後6時半すぎ、本庶氏の受賞が発表されると、一緒にいた教員や研究生と喜びを分かち合った。京都大大学院生時代に「流行を追うのではなく、自分の研究を世界の流行にしなさい」と薫陶を受けた福井教授は「世界中のがん患者と家族に希望を与えてくれた。研究者としてものすごい信念を持っている」と師の偉業をたたえた。
同医学研究科で指導を受けていた徳島大大学院医歯薬学研究部の野間隆文教授(64)は「数ある研究の中でも、特に素晴らしい発見だった。必ず受賞すると信じていた」と祝福した。研究に対する姿勢は「朝から晩まで研究の進み具合を確認するほど厳しかった」と苦笑する。一方、親分肌で人望があり、研究生から慕われていた。「目先にとらわれず、知りたいという欲求を大切にしながら粘り強く研究するよう指導されていた。先生の行動そのものが後進のお手本になる」
川島病院(徳島市)糖尿病科の野間喜彦医師(63)は、大阪大大学院遺伝学教室で本庶氏に師事した。「当時はまだ40代で若かったのにオーラのある人だった」と振り返る。
徳島大疾患ゲノム研究センターゲノム機能分野の岡崎拓教授(44)は、2008年まで京都大大学院医学研究科で10年間にわたって本庶氏と研究に携わり、タンパク質「PD1」のメカニズムの解明に貢献した。吉報を耳にして「長年の努力が認められて素晴らしい」と喜んだ。