沖縄戦を描いた紙芝居に聞き入る参加者=徳島市雑賀町の県戦没者記念館

沖縄戦を描いた紙芝居に聞き入る参加者=徳島市雑賀町の県戦没者記念館

 戦争と平和について考える「語り部の会」(徳島県遺族会主催)が9日、徳島市雑賀町東開の県戦没者記念館で開かれた。太平洋戦争末期の沖縄戦に動員された元白梅学徒隊員の中山きくさん(87)=那覇市=を描いた絵本を基に、県遺族会が制作した紙芝居が初披露され、市民ら約40人が耳を傾けた。

 紙芝居は、当時16歳だった中山さんが沖縄戦に巻き込まれ、負傷兵を看護したり銃撃がやまない戦場を逃げまどったりした体験を伝える内容。県遺族会女性部の近藤年江部長(76)が情感を込めて朗読し、参加者は真剣な表情で聞き入った。

 大西勝子さん(90)=三好市池田町=も語り部として登壇し、復員兵の夫が戦地で感染したマラリアを再発させて亡くなるなど、終戦後も苦労した体験談を語った。

 夫婦で訪れた立石美佐さん(42)=徳島市福島、教諭=は「戦争で人の命が簡単に奪われる。私たちのように戦争を知らない世代は、こうした事実をさまざまな形で知ることが大事だと感じた」と話した。