徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 最近の県教委の調査では携帯電話やスマートフォンの所有率は小学6年生で55.2%、中学2年生で69.0%、高校2年生で98.3%に上るとされます。毎日、インターネットをする時間は小学生では97.3分、中学生で148.7分、高校生で213.8分と毎年段々長くなっています。また1日5時間以上インターネットをしている小学生が5.1%、中学生で11.6%、高校生では26.1%であるとされます。

 このように長時間メディアに関わる子どもの中からメディア依存症が発生すると考えられます。依存症になると心理的にも肉体的にも社会的にも大きな影響を受けます。

 肉体的には目が悪くなる、運動不足になる、頭痛や肩こりがひどくなる、睡眠不足や倦怠感の訴えが多くなるなどの症状が見られます。

 精神的には落ち込んだり、感情をコントロール出来なくなったりします。さらにうつ状態になることや社会性に問題が現れることもあります。寝不足、不登校、現実社会での人間とコミュニケーションが取れず、社会生活が困難になることもあります。

 依存症になるきっかけは単なる時間つぶしなどごく些細なことが多いとされます。子どもたちの中には発達障害など依存症になりやすい素質を持った子どももいます。発達障害の子ども達が依存症になると大変治り難いと言われます。メディア接触の時間が長くなる程、また接触する子どもの年齢が低いほど影響が大きく問題は深刻化します。

 メディア依存症に対する特効薬はありません。現在は限られた専門施設で治療が行われているに過ぎません。子どものスマホやインターネット使用は家庭で制限すべきです。