熊本地震の発生から14日で3カ月を迎えた。熊本県南阿蘇村で被災後、藍住町に帰郷し募金活動をしていた山口涼風さん(21)=東海大農学部4年=は熊本に戻り、新たな生活をスタートさせた。大学の授業は熊本市内にある別のキャンパスで再開したが、通学途中、今も残る壊れた家々を目にするたびに胸が痛む。「復興はまだ先」。支援の継続を呼び掛けている。
山口さんは、4月16日未明の本震で南阿蘇村の自宅アパートが倒壊。友人宅に身を寄せていたため無事だったが、大学の顔なじみが犠牲になった。
山口さんが通っていた南阿蘇村のキャンパスは2年間の閉鎖が決まり、7月1日に30キロ離れた熊本市内のキャンパスに教室を移した。休講中の遅れを取り戻すため授業時間を延長。夏休みも一部期間を返上して授業に充てる。
震災後、藍住町の実家に避難していた山口さんは6月25日に熊本に戻り、熊本市内にアパートを借りた。片道約40分かけて徒歩で通学しているが、閉店したままの店舗や屋根にビニールシートをかけた家が目立つ。
熊本市内への転居後、6月末に同村へ荷物を取りに戻ったが、住んでいたアパートは倒壊したまま。家財道具を取り出そうとしたが、押しつぶされた部屋から回収できたのは、ドライヤーと扇風機ぐらいだった。
周囲の部屋にも家財道具を取り出したような跡はあったが人影はなく、地震前のにぎわいは消えていた。
「被災地のニュースが少なくなっているが、忘れずに支え続けてほしい」。山口さんは訴える。
藍住町の実家に避難していた間、徳島駅前などで集めた募金約150万円は南阿蘇村などに送った。生活が落ち着いたら村の復興に向けてボランティア活動をしようと考えている。