徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 百日咳は予防接種で防ぐことの出来る病気です。現在、百日咳の予防接種はジフテリア、破傷風、ポリオと共に4種混合ワクチンに含まれ、生後3か月から定期接種として受けることが出来ます。4種混合ワクチンの接種率はとても高いためにワクチンを受けている年齢層の百日咳罹患は非常に少ないとされます。

 百日咳ワクチンは1956年から使用され、1958年にジフテリアとの2種混合ワクチンに、1964年に破傷風を加えた3種混合ワクチン(DPT)となり、2012年にポリオを加えた現行の4種混合ワクチンになりました。1968年からDPTとして定期接種になりました。

 しかし最初の百日咳ワクチンは百日咳菌全体を用いたワクチンで、副反応が強く、1974年から1975年にかけてDPTワクチン接種後の死亡例が報告され、1975年2月にDPT接種は一時中止されました。しかしその結果、1976年から1981年に百日咳が全国的に大流行して百日咳による死亡者も増加しました。

 これを受けて1981年に改良型ワクチン(無菌体百日咳ワクチン)が開発認可され、新しいDPTとして使用されるようになりました。その後、副反応は大きく減少してDPTは安全に接種できるようになり、接種率の向上と共に百日咳の罹患率は減少しました。

 しかし最近、百日咳の集団発生が大学生など成人の間で報告されることが増えてきました。若年層の百日咳罹患はワクチンを接種していない新生児や3カ月未満の乳児の百日咳の感染源になる可能性が高くなります。思春期から若年成人の百日咳の抗体価を高く維持するためにワクチンの追加接種が必要とされ、対策が急がれます。