「目の前にいる人を心から愛して」と語り掛ける寂聴さん=京都市の寂庵

「目の前にいる人を心から愛して」と語り掛ける寂聴さん=京都市の寂庵

 徳島市出身の作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(94)が17日、京都市の寂庵で法話の会を開いた。家族や友人の死を迎える心構えとして「生まれることは死ぬためであり、巡り会えば別れが待っている。死と別れを覚悟し、目の前にいる人を心から愛しましょう」と呼び掛けた。

 7日に亡くなった放送タレントの永六輔さんや昨年12月に死去した作家野坂昭如さんら数々の友人との思い出を振り返り「死んでもあの世でたくさんの人に会えるから、死は怖くない。ただ、死ぬまで小説を書きたいわね」と語り、来場者約160人は熱心に聞き入った。

 聴衆との質疑応答では、憲法改正に賛同する改憲勢力の議席が国会発議に必要な3分の2を超えたことについて問われ「とんでもない結果でがっかりしている。戦争が近づいているようで非常に怖い。これからもデモや投票を通じて意思を示さないといけない」と表情を引き締めた。