徳島県が吉野川市美郷-神山町間で整備している国道193号倉羅バイパスが、1992年度の事業着手から24年たっても総延長の約1割しか完成していないことが分かった。財政状況などから主要部分のトンネル工事が着手できていないためで、トンネルまでの一部区間は完成しながら10年以上通行できない状態が続く。関連する国道193号の拡幅工事と合わせた総事業費は105億円とされているが、既に55億円を投入しており、事業費の大幅な増大も避けられそうにない。

 県道路整備課によると、パイパスは総延長3・5キロで、うち国道193号とトンネル入り口とを結ぶ美郷側の約400メートル区間が2003年度に完了した。その後、トンネル施工に伴う大型車両の通行に備え、付近の国道193号(1・6キロ)を拡幅する工事に着手した。険しい地形のため擁壁工事などに時間がかかり、15年度末で6割しか進んでいない。

 拡幅が終了しないとトンネル工事を始めることができず、2011年度には「13年度前後」としていた開通目標を「22年度内」に変更した。トンネル工事は最低でも5年かかるとされ、新たな目標の実現も難しい状況だ。

 完成した約400メートルの道路前には柵が置かれ、真新しい道路が活用されないままの状態となっている。

 県の道路関係費は1992年度には494億円あったが、2016年度は約4割の192億円にまで減少している。

 美郷側のバイパス建設地近くに住む80代の女性は「神山との行き来が便利になると期待していたが、いつになったら完成するのか。進め方には問題はなかったのか」と話す。

 県道路整備課は、遅れている理由について「予算の確保が難しくなっているため」と説明し、「観光振興や防災の観点からバイパスは必要。他事業の進ちょく状況などを総合的に勘案して整備を進める」としている。

 倉羅バイパス 吉野川市美郷古井から倉羅峠近くを経て神山町上分名ケ平までの3・5キロで、2・7キロのトンネルを通す。国道193号のつづら折りの約10キロがほぼ直線でつながり、県は交流人口の増加や災害時の緊急輸送路としての活用を期待している。トンネルは高速道を除けば美馬市と香川県まんのう町を結ぶ国道438号の三頭トンネル(2・648キロ)を抜いて県内最長となる。