風にそよぐススキが秋の深まりを実感させてくれる塩塚峰=三好市山城町

 ススキが一帯に広がり、秋の深まりを感じることができる場所として知られる。三好市の塩塚高原を訪ねると、開き始めた穂が風に揺れて波打っていた。ひんやりとした空気が頬に伝わった。

塩塚峰(東峰)山城展望台

 塩塚高原は、徳島、愛媛県境にそびえる塩塚峰(しおづかみね)(1043メートル)の主峰と東峰をつなぐ山肌一面にある。名前の由来は、魔よけなどの盛り塩に三角すいの主峰が似るためとも言われるが、詳しい理由は不明だ。

 かつては周辺に点在する集落の茅場(かやば)だった。屋根をふく材料や家畜の飼料用としてススキを供給してきた。毎年3月に野焼きが行われているのも、保全するのが目的だった。放置すると、堆積した有機物が栄養となって木々が芽生え、森林化してしまうためだ。

 近年はススキの需要が減って茅場の役割はほぼ失われているものの、野焼きは茅場の保存とともに観光振興の面から続けている。山肌が燃える様子は壮観で、県内外から多くの人が見物に詰め掛ける。

周辺には展望台やキャンプ場が整備され、夏の避暑地としても人気を集める。気軽に訪れられる高原として親しまれている。