フランス料理のフルコースなど西洋料理向けに作った大谷焼食器=鳴門市の田村商事

 大谷焼窯元の田村商事(鳴門市)が、フレンチやイタリアンなど西洋料理向け食器を充実させ、販路を広げている。東京都内のレストラン4店舗で採用され、さらに依頼が舞い込んでいる。受注の増加に対応するため8月に工場を増築し、「大きなビジネスへ成長させたい」としている

 西洋料理向け大谷焼食器は、ピンクや緑で線を描いたカラフルなものや薄いグレーのスタイリッシュな皿、卵型のデザート容器など、従来の渋いイメージを刷新。赤土に磁器土や白土を混ぜて素材を見直し、上薬の発色が良くなるように試行錯誤した。和の趣を残しながらも金彩やプラチナの上絵付けで高級感を持たせている。

 東京に昨年11月オープンした徳島産食材のフランス料理店「フレンチモンスター」から依頼を受けたのが製作のきっかけ。料理構成やイメージを聞き取り、皿や小鉢など約300点を焼き上げた。同店の錦織宏尚オーナーは「フランス料理には欧州の食器を使うのが一般的だが、大谷焼は徳島の食材と相性が良くお客さまからも好評」と絶賛する。

 工房を訪れたワイン輸入商社(東京)にも注目され、同社と取引のあるレストラン3店舗で採用された。その後も口コミで依頼が舞い込み、新たに2店舗分を製作している。

 田村商事の大谷焼食器のうち西洋料理向けの占める割合は1年余りで3割に増えた。8月に工房の隣に完成する新工場には焼き時間を短縮する高性能の窯などを導入し、西洋料理向け食器の生産やバリエーションの増加に対応する。

 10代目の田村栄一郎社長は「時代のニーズに合わせて新たな分野に挑戦しなければ、伝統も守れない。守るべきところは守りつつ、大谷焼をより美しく進化させたい」と話した。