戦前の阿波踊りをユーモラスに描いた、板東秋岳の作とみられる掛け軸

 戦前の阿波踊りを描いた珍しい掛け軸が、29日から徳島市の市立木工会館で展示される。同市の書画収集家(76)が所蔵していた作品で、徳島城博物館によると日本画家板東秋岳(1893年~不明)の作とみられる。庶民が頬かむりをして踊りを楽しむさまがユーモラスに表現されている。8月16日まで。

 「阿波踊所見」と題された掛け軸は縦127センチ、横33センチ。縦長の構図を生かし、乱舞に興じる踊り子の列を描いている。藍染とみられるそろいの浴衣を着た踊り手の後を締太鼓と鉦を持った鳴り物が続き、最後尾には日本髪に結った三味線の女性の姿がある。戦前の古風で素朴な踊りの雰囲気が伝わってくる。

 木工会館が徳島市の阿波踊りの時期に合わせて展示する作品を探していたところ、作品の存在を知り、所有者から借りて徳島城博物館に鑑定を依頼した。

 博物館の小川裕久学芸員によると、秋岳は海部郡奥木頭村(現那賀町)生まれ。徳島師範学校を卒業後、教員を経て徳島新聞の前身の一つ「徳島日日新報」の美術部記者として勤める傍ら、画家として活動した。

 掛け軸の落款は「月廻本露村」となっていて、秋岳の別名かどうかは不明。ただ、秋岳は1921(大正10)、22(同11)年ごろに阿波踊りの掛け軸を複数描いており、画法が酷似していることなどから「秋岳の可能性が極めて高い」としている。

 小川学芸員は「街を流していた戦前の徳島の盆踊りのにぎわいが巧みに表現されている。戦後の阿波踊り復活から70年の節目に、ぜひ見てほしい」と話している。

 入場無料。木工会館では29日午前10時から小川学芸員による展示解説も行われる。問い合わせは市地場産業振興協会<電088(626)2453>。