原発事故の被災地となった福島の現状を知ろうと開かれた報告会「がんばっぺ福島」=徳島市の新聞放送会館

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から5年余りがたった福島県の現状を「被災地語り部」の猪狩弘之さん=いわき市=に語ってもらう報告会「がんばっぺ福島」(徳島新聞社主催)が29日、徳島市の新聞放送会館であり、集まった約150人が原発事故後も続く地域の過酷な状況を改めて胸に刻んだ。

 原発から35キロ圏内に暮らす猪狩さんは、福島県内の震災関連死が5年間で2031人に上り、直接死を427人上回っていることを紹介した。家に戻れない悲壮感で自殺者も毎年増えていることを挙げ「原発事故がなければ助かった命はたくさんある」と強調した。

 原発事故の避難者約2万5千人を受け入れているいわき市については「突然人口が増えて地価が倍になり、元の市民でマイホームを夢見ていた若い世代は夢を諦めざるを得ない状況だ」と述べた。

 核燃料の取り出しが遅れるなど廃炉作業が進んでいないことにも触れ「原発は人間に制御できない。事故が起これば地域は崩壊する。この苦しみは福島で最後にしたい。広げたくない」と訴えた。

 石井町石井の笹田典子さん(76)は「福島では今も大変なことが続いている。涙なくして聞けなかった」と話した。