創作劇を披露する祖谷十八人会。祖谷平家まつりの休止で最終公演となった=徳島県三好市の東祖谷歴史民俗資料館

 祖谷地方に伝わる「平家落人伝説」を題材にした創作劇が7日、徳島県三好市東祖谷京上の東祖谷歴史民俗資料館であり、住民や観光客ら約250人が今年限りの最終公演を惜しんだ。

 壇ノ浦合戦で亡くなった安徳天皇が、平家と共に祖谷に落ち延びたとされる伝説に基づいた内容で、タイトルは「別離(わかれ)二つ」。東祖谷の住民団体「祖谷十八人会」が上演した。

 幼い安徳天皇と身代わりとなった千代松、付き添った重臣たちの情愛が物語の柱。千代松との別れや、祖谷に逃れた安徳天皇が病死する場面では、けなげで気丈に振る舞う子役2人が観客の涙を誘った。

 同市東祖谷小川の西岡ウメ子さん(82)は「これまでで一番感動した。今年で終わるのはもったいない」と残念がった。

 十八人会は存続するが、来年以降の活動は未定。小西文夫会長(68)は「落人伝説は東祖谷の文化。何らかの形で次世代につなげていきたい」と話した。

 同市西祖谷山村のイベント広場・かずら橋夢舞台で市が開催してきた「祖谷平家まつり」が今年から休止されたため、まつりのメイン行事だった創作劇も継続困難となっていた。