徳島県内の野菜の栽培面積が2012年度から15年度までの4年間で、743・6ヘクタール増えたことが県のまとめで分かった。県、市町村、JAが主体となり、需要の高いブロッコリーやホウレンソウの栽培を奨励するなどしたため。ただ、農業算出額の減少に歯止めがかかっておらず、販売単価の底上げや異常気象への対策が求められている。

 県内9地域の産地ごとに野菜の新規作付分や増反分の面積を集計し、県がまとめた。産地別では吉野川市地域が269・0ヘクタールと最大で、鳴門市・藍住町地域の142・8ヘクタール、徳島市地域の105・8ヘクタール、名西郡地域の70・6ヘクタール、阿南市・那賀町地域の69・1ヘクタールと続いている。

 品目別では市場ニーズが高く、収穫後の作業負担が少ないブロッコリーが304・2ヘクタールと突出しており、次いでホウレンソウの82・4ヘクタール、ダイコンの61・1ヘクタール、レタスの58・7ヘクタール、キャベツの55・6ヘクタールなどとなっている。

 県内の野菜作付面積は1989年の9732ヘクタールがピーク。その後は高齢化や後継者不足により減少傾向で、2010年は6813ヘクタールまで落ち込んだ。こうした状況を受け、県、市町村、JAが12年度から野菜増産プロジェクトを始めた。産地ごとにプロジェクトチームを設け、米から野菜への転作推進や新規就農者への技術指導などに取り組んでいる。

 プロジェクト開始以降に増えた面積は12年度が104ヘクタール、13年度が226ヘクタール、14年度が249・9ヘクタールと右肩上がりだったが、15年度は163・7ヘクタールと伸び悩んだ。目標とする16年度に1千ヘクタールにはまだ256・4ヘクタール残っており、達成は微妙な情勢だ。

 一方、県内の農業算出額はプロジェクト開始後の13年が前年比70億円減の984億円、14年が31億円減の953億円と依然減り続けている。

 県もうかるブランド推進課の担当者は「近年の販売単価の低迷に加え、異常気象で生産量も落ち込んでいる。栽培面積を増やすだけでなく、高く買ってもらえる売り先の開拓や品種改良といった対策も必要だ」と話している。