長年の風化で文字がほとんど見えなくなった「原発絶対反対」の看板(右側)と撮影スタッフら=阿南市椿町

 1970年代に起こった阿南市椿町の原発反対運動などを取り上げた映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」を手掛けたジャーナリストが、原発の危険性を検証するドキュメンタリー映画を製作するため、3日、同市を訪れ撮影を始めた。四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の再稼働が迫る中、再び映画の舞台となった同市の原発反対運動関係者も「このまま再稼働していいのか。今一度、皆で考えてほしい」と訴えている。

 新たな映画のタイトルは「埋もれた原発黒書~核を抱きしめたニッポン」。「シロウオ」の続編と位置付け、製作・脚本は、少年時代を小松島市で過ごした環境問題ジャーナリストの矢間秀次郎さん(76)=東京都小金井市=が担っている。

 3日は、矢間さんら撮影スタッフ4人が阿南市入り。阿南市椿町弥生野の県道脇には「原発絶対反対」と書かれた看板が残されており、その前で運動の中心人物だった元市議の椋本貞憲さん(77)=同市椿町豊野=のインタビューを行ったほか、原発建設予定地を撮った。

 4日まで同市に滞在し、予定地付近の海で魚を捕る漁師の姿などを撮影する。

 映画は、広島県の原爆被ばく者や太平洋・ビキニ環礁での水爆実験被ばく者、大学教授らのインタビューなどをまとめる予定。

 矢間さんは「住民が原発計画を中止に追い込んだ阿南は、原発問題を語る上で貴重な場所。各地の原発が再稼働に向けて動き始める中、本当に必要なものか、映画を見て判断してほしい」と話している。

 椋本さんは「再び阿南の住民運動が注目され、うれしい」とした上で「安全神話が復活したかのような原発回帰の動きを苦々しく思う。老朽化などで事故の危険性はむしろ高まっている」と指摘する。

 映画は2017年6月の完成予定。

 映画「シロウオ」は2013年に完成し、全国74カ所で上映されている。