貿易摩擦の不安要因などもあり、日本経済の先行きに懸念が強まっている。

 日銀の9月の企業短期経済観測調査(短観)で、経営者の景況感を示す代表的な指標である大企業製造業の業況判断指数(DI)が、前回の6月調査から2ポイント下落してプラス19となった。

 悪化は3四半期連続で、リーマン・ショック以来だ。

 相次ぐ自然災害や日米貿易摩擦への警戒感、原油など原材料の価格高騰が、経営者の心理を圧迫したようだ。

 依然として業況判断DIの水準は高く、景気の回復も続いている。景況感の悪化をさほど深刻に受け止める必要はないのではないか。

 だが、年明けに本格化するとみられる日米の通商交渉次第では、企業家心理の冷え込みを招きかねない。

 景気の腰折れを避けるために、政府は細心の注意を払わなければならない。輸出をけん引する自動車など国内産業が打撃を受けないよう、対米貿易に日本の立場を反映させることが重要である。

 業種別の業況判断DIは、石油・石炭製品が原材料高に加え、悪天候で工事資材の需要が後ずれしたことから18ポイント下落した。鉄鋼と食料品がやや悪化。自動車はわずかながら改善した。

 大企業非製造業の景況感は2ポイント悪化し、プラス22となった。悪化は2年ぶりだ。豪雨や台風の影響で、運輸・郵便が3ポイント、宿泊・飲食サービスは2ポイント、それぞれ悪化した。

 大企業製造業、非製造業とも、景況感が高い水準を維持する中で、目下の課題は人手不足だ。従業員などの過不足を示す雇用人員判断DIは、全規模全産業が1ポイント下落のマイナス33となった。

 一方、徳島県では、企業活動に明るい動きが見られる。

 日銀徳島事務所の9月の短観で、県内企業の業況判断DIは8ポイント上昇してプラス12と3四半期ぶりに改善した。

 製造業は3ポイント上昇してプラス17で、10四半期連続でプラスとなった。自動車関連やスマートフォン用部品の需要が国内外で好調に推移した。

 非製造業は12ポイント改善してプラス6と3四半期ぶりのプラス。公共工事の受注が増えた建設業が押し上げた。

 中小・零細企業が多い県内でも、課題は人手不足である。雇用人員判断DIは全産業で10ポイント下落してマイナス28となった。製造業、非製造業ともに幅広い業種で人手が足りない。

 徳島県でも景気回復が続いているが、まだ実感に乏しいのが現状である。企業が労働力を確保し、賃金を通じて個人消費に波及効果を与えることが、県民が実感できる景気回復につながる。

 問題は、地方の中小・零細企業が賃金水準の高い大企業に対抗するのが困難なことだ。自助努力には限界がある。徳島県の最低賃金の底上げと並行して、国や県には、中小・零細企業を支援する方策が求められる。