阿南市教委が文化庁に国史跡指定を申請した太龍寺境内=阿南市加茂町龍山

 阿南市教委は、同市加茂町龍山の四国霊場21番札所・太龍寺境内約6万平方メートルを国史跡に指定するよう、文化庁に申請した。弘法大師が修行を積んだとされる数少ない寺で、山岳寺院の風格が漂う往事の景観をとどめており、歴史的・文化的価値があるとしている。文化審議会が年内にも答申する見通し。

 境内では、本堂(1852年建立)や大師堂(1877年)など九つの建物が国の登録有形文化財となっており、大理石でできた石垣や基壇もある。樹齢100年以上のスギが立ち並び、「四国遍礼名所図会」(1800年)に描かれた景観が保たれている。

 2009年に市と県教委が国史跡の指定を目指して測量調査を始め、石垣や石像、文献などを調べてきた。指定されれば、既に国史跡となっている周辺の遍路道「太龍寺道」「かも道」「いわや道・平等寺道」とともに保護活動を進める。

 市文化振興課文化財係の向井公紀事務主任(36)は「国史跡の指定は遍路文化を守る上で極めて重要だ。全国の人に太龍寺をより知ってもらえればうれしい」と話した。

 太龍寺は標高約500メートルにある真言宗の寺院。創建時期は不明だが、798年に桓武天皇の命を受けて、阿波国司の藤原朝臣文山が創建したとする説がある。