四国電力は12日、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)を再稼働させる。15日に発電と送電を開始し、9月上旬の営業運転を目指す。2012年1月に伊方の全3基が停止して以来、4年7カ月ぶりに四国で原子力発電が再開する。原子力規制委員会の新規制基準の下での再稼働は九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、関西電力高浜3、4号機(福井県)に続き5基目。高浜3、4号機が司法判断で運転差し止め中のため、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電としては国内唯一となる。

 四電によると、12日午前9時ごろ、原子炉容器内の制御棒を引き抜き、核燃料に中性子を当てて核分裂を起こす。13日には核分裂が安定して持続する臨界に達する。

 15日に送電を再開して徐々に出力を上げ、22日には最大出力約89万キロワットに到達。9月上旬に規制委による最終的な検査を受け、問題がなければ営業運転に移行する。

 四電は当初、13年夏の再稼働を目指していたが、規制委の発足と新規制基準の導入により、大きく遅れた。

 15年7月に規制委の審査に合格。地元伊方町長、愛媛県知事が再稼働に同意し、今年7月26日の再稼働を予定していた。同月17日に1次冷却水の循環ポンプ内を洗浄するための純水が過度に漏れるトラブルが判明し、約半月遅れた。再稼働により四電は、年250億円の燃料費の節減を見込んでいる。

 一方、4月の熊本地震と連動し伊方原発近くの中央構造線断層帯で巨大地震が発生するとの指摘があり、住民の間には事故への懸念が強い。徳島県内ではさよなら原発徳島実行委員会が、同社徳島支店に再稼働の中止を申し入れている。

 同社の笹谷誠志広報部副部長は「より緊迫感を持って作業を継続し、12日の再稼働を迎えたい」と話している。