中央よりやや下に「AWA DANCE」と英語表記がある阿波踊りの観光用ポスター

 阿波踊りを意味する「AWA DANCE」(阿波ダンス)と英語で書かれた観光用ポスターが、徳島市の徳島城博物館で確認された。1950(昭和25)年製作とみられ、進駐軍の占領下時代を反映していると考えられる。ポスターでの英語表記はこの年の前にも後にも見られず、大変珍しい。

 徳島市城南町3の郷土史研究家東條英機さんが昨年寄贈し、同館学芸員小川裕久さんが調査した。洋画で踊り姿の女性が描かれ、「阿波踊」と「AWA DANCE」の文字がある。

 絵柄について小川学芸員は「着物のしわに人工照明を当てたような陰影表現が施されている。戦前は日本画風であるのに対し、米のイラスト文化を反映している」と指摘する。

 年記はないものの実施日から判断でき、現存するポスターの中では34、35年版に続いて3番目に古く、戦後初のポスターであることも分かった。

 県立文書館の公文書担当研究員金原祐樹さんによると、戦後の新聞や阿波踊りの紹介本に「素晴らしいダンス」などの記述はあるが、「AWA DANCE」と書いたものはないという。「当時は占領下で、踊りをダンスと呼んでも違和感はなかったはず。世相を反映し、資料的価値が高い」と評価する。

 48年から阿波踊りを踊っている徳島市南新町2の四宮生重郎さん(88)は「阿波踊りの輪に米の兵隊も軍服を着たまま入ってきた時代。そのころ徳島駅周辺にダンスホールもでき、ダンスという言葉がはやったように思う」と振り返る。「人々の心に余暇を楽しむゆとりも生まれ、『阿波ダンス』という言葉は、平和が訪れた象徴的な言葉といえるのではないか」と話している。