クリス・フレイザーさんが制作した阿波和紙を使った作品=吉野川市山川町

 阿波和紙伝統産業会館(吉野川市山川町川東)が本年度から国内外の芸術家を招いて創作活動をしてもらう「アーティスト・イン・レジデンス(AIR)」事業をスタートさせた。年2回、芸術家に同館をアトリエとして提供し、制作に励んでもらうとともに、工作教室などを通して地域文化の向上につなげる。第1弾として米国の男性らが活動を始めた。

 AIR事業では世界中から芸術家を受け入れる米国の版画工房2社の協力などを得て、前期(7~8月)と後期(10~11月)に国内外から計5人程度を招く。交通費や制作費を一部助成し、滞在中は阿波和紙の手すき技術の習得や作品の制作に取り組んでもらうほか、同館などでの作品展示や住民を対象にワークショップなども開いてもらう。

 本年度は文化庁の国際文化交流促進事業の補助金500万円を活用し、前期2人、後期3人を受け入れる。米カリフォルニア州出身で、光を使った空間表現が専門のクリス・フレイザーさん(37)は7月下旬から制作を始め、作品を8月14日まで公開している。

 作品の大きさは約4メートル四方。複数の切れ込みを入れた黒色の和紙に3方向から光を当てて別の和紙に映し出した模様を真っ暗な室内で鑑賞する趣向で「西洋紙では表現できない和紙独特の表情を楽しんでほしい」と話す。

 愛媛県出身で武蔵野美術大助手の越智也実さん(28)は、同月23日からの展示に向け銅版画作りに取り組んでいる。「紙質や色で作品の雰囲気も変わるのでいろいろ試したい」と構想を練る。

 同館は1989年から「ビジティングアーティスト」事業として30カ国以上から100人を超える芸術家を受け入れてきた。ただ、芸術家による自費での参加だったため創作活動が中心だった。

 同館の藤森洋一理事長は「阿波和紙に関心のある国内外の芸術家と住民の交流機会を増やし、地域の文化振興に貢献したい」と話している。