1番札所・霊山寺を出発する辻本正直さん(右)と妻サヱ子さん=鳴門市大麻町板東

 大阪府吹田市の辻本正直さん(90)が10日、卒寿を記念した歩き遍路を妻サヱ子さん(83)と始めた。四国霊場1番札所・霊山寺(鳴門市)から88番・大窪寺(香川県)までの約1200キロを2カ月かけて歩く。四国八十八カ所霊場会の公認先達25人でつくる「歩き遍路の会」は、「90歳での通し打ちは聞いたことがない」としている。

 辻本さん夫妻は、午前9時ごろ霊山寺に到着。本堂と大師堂を参拝した後、雨具を着て山門を出た。初日は公認先達ら6人と一緒に5番・地蔵寺(板野町)まで歩いた。

 正直さんが遍路の本を読んだのをきっかけに、1995年から夫妻で歩き遍路を始めた。これまでに4回結願。前回は2016年に正直さんの米寿を記念して歩き、57日で結願した。

 正直さんは毎朝、ごみ拾いをしながら自宅近くの5キロの散歩コースを歩いて体調を整えるとともに、週3日は体育館で腹筋や足腰を鍛えてきた。

 この日が誕生日の正直さんは「今なお元気に挑戦できることに感謝しながら、何とか最後まで歩きたい」と意気込んだ。サヱ子さんは「四国の人たちとの触れ合いが楽しみ」と話した。