トランプ米政権にとって初の全国的な審判となる中間選挙(11月6日)まで、1カ月を切った。与党・共和党が上下両院の過半数を維持できるかが最大の焦点だ。

 米経済は、株価が連日最高値を更新するなど極めて好調だが、必ずしも与党への追い風にはなっていない。

 トランプ氏自身の脱税疑惑など、相次ぐスキャンダルや強引な政権運営に批判が噴出しているからだ。

 劣勢が伝えられるトランプ氏が、なりふり構わず支持者受けする政策を打ち出すことも予想されるだけに、今後の言動を注視する必要がある。

 中間選挙は上院で全100議席の約3分の1の35議席、下院では全435議席で争われる。専門機関の予想はいずれも共和党に厳しく、中でも下院は過半数割れの可能性が高いとみられている。

 民主党が多数を取れば、過半数の賛成で大統領を「弾劾訴追」できることから、ロシア疑惑でトランプ氏を窮地に追い込むことができる。

 トランプ氏を巡っては、女性スキャンダルに加え、父から継いだ不動産業で脱税行為をしていた疑いが報じられている。

 醜聞が絶えない。それでも、共和党支持者からは依然、高い支持率を維持しているという。スローガンの「米国第一主義」が評価されているのだろう。

 外交・安全保障では、地球温暖化対策のパリ協定やイラン核合意からの離脱表明、在イスラエル大使館をエルサレムに移転するなど、国際協調に反する行動を取ってきた。

 経済・貿易でも、同盟関係を無視した保護主義的な政策を進めている。いずれも支持基盤を意識したものだ。

 ただ、上下院どちらかでも共和党が過半数を割れば、議会との対立が不可避となる。各政策の実現も望めなくなり、さらなる政治の混迷が予想される。

 トランプ流の政治を続けさせるか、それとも「ノー」を突きつけるか。国民にとっては悩ましい選択だろう。

 国際社会に与える影響も小さくない。

 トランプ氏の最大の目標は2年後の大統領選での再選だ。選挙結果によっては、さらに強硬に「米国第一」を推し進める可能性がある。

 危惧されるのは、中国との貿易摩擦をエスカレートさせていることだ。米中にとどまらず世界経済の失速を懸念する声も出ている。にもかかわらず、トランプ氏は強気の姿勢を変えていない。

 中国との関係悪化は、北朝鮮との非核化協議にも影を落としているが、トランプ氏は意に介しないだろう。都合の良いところで妥協点を見つけ、それを成果としてアピールするのではないか。

 これらは日本にとっても重要な問題だ。米国との貿易交渉や北朝鮮問題で、トランプ政権とどう向き合うか。安倍政権は、選挙後も見据えた対応策を練っておくべきだ。