小松島市は、市中心部と四国霊場18番札所・恩山寺(同市田野町)などを結ぶ古い遍路道を、市民や観光客向けのウオーキングコースとして売り出す。恩山寺周辺の古道が近く、国史跡「阿波遍路道」に追加指定されることを受け、歩き遍路以外にも気軽に散策を楽しんでもらう。周遊マップ作りや日帰りツアーなども行い、地域の魅力発信につなげる考えだ。
コースは、神田瀬川南岸(同市松島町)を南下して旧土佐街道に合流し、恩山寺を経て赤石港(同市赤石町)に至る計7キロを想定。市教委などによると、船で小松島に上陸したお遍路さんが、恩山寺や19番・立江寺(同市立江町)といった港近くの札所から巡礼を始めるケースが幕末からあり、そのルートが今回のコースの原型になった。
7キロのうち、恩山寺境内までの山道を登る「恩山寺道」(延長407メートル)と、恩山寺を降りて近くの竹林や山すそを抜ける「立江寺道」(同483メートル)が国史跡に指定される見通し。遍路道の道端には中世の五輪塔や江戸時代後期の道しるべ、遍路中に行き倒れた人の墓などが多数残り、歴史の重みを感じさせるコースとなっている。
市では2016年度にウオーキングコースを決定したい考えで、7月には市職員や市観光ボランティアガイド協力会員ら約20人が遍路道を視察した。市教委の担当者から道や石造物の特徴の説明を受け、民有地を通らないコース取りができないかなどについて、話し合った。
今後、こうした石碑の由来や地域の伝承を盛り込んだマップ作りや、ボランティアガイドによるウオーキングツアーなども行う。茨木昭行・市産業振興課長は「車では出合えない道しるべや史跡に触れながら、先人の歩いた道をなぞってもらいたい」と話している。