東証マザーズに上場する創薬ベンチャー「デルタフライファーマ」(徳島市)の江島清社長=写真=は徳島新聞の取材に対し、「再発・難治性の急性骨髄性白血病(AML)治療剤で、早ければ2020年の実用化を目指したい」と、研究開発の加速に意欲を見せた。 

 −上場の目的は。

 一番の目的は資金調達により、抗がん剤の研究開発を加速させることだ。これまでも第三者割当増資でベンチャーキャピタルや企業から資金を調達してきたが、上場により実用化に弾みをつけたい。企業の知名度やブランド力も高まり、研究開発に関わる優秀な人材の確保も可能になると思う。

 −がん治療で強力な抗がん剤を投与する化学療法は、副作用から患者の体への負担が大きいと言われる。

 開発中のAML治療剤は、がん細胞DNAに取り込まれた後、増殖を阻害する作用があり、低用量で持続的に投与するため、化学療法に耐えられない患者にも使用できる。米国での臨床試験も近く最終段階に移行する予定で、早ければ20年の実用化につなげたい。国内でも、開発・販売提携先の日本新薬(京都市)が試験の準備を進めている。

 DDSを用いた抗がん剤も投与量が少なく、体への負担は小さい。高分子技術を持つ化学品メーカー・三洋化成工業(京都市)と3月に共同開発契約を結び、近く米国での臨床試験を申請する予定だ。

 −今後の展開は。

 米国でのAML治療剤などの臨床試験が順調に進めば、日本国内や、人口が多い中国での事業展開も見えてくる。経営が軌道に乗り安定した収益が得られれば、研究開発費を増額でき、モジュール創薬を活用し米国や日本国内で臨床試験を進めている肺がんや膵がんの治療剤など、他の治療薬の開発もしやすくなる。徳島発のバイオベンチャーの事業拡大で地域に雇用が生まれ、大学などの研究機関も含めた活性化が図られることを期待している。