徳島バス(徳島市)の路線バス乗客が痴漢の被害を訴えたのに、運転手がすぐに対応せず、他の乗客から注意されるまで走行を続けていたことが24日、同社などへの取材で分かった。旅客自動車運送事業運輸規則に抵触する可能性もあり、同社は乗務員が適切に対応するよう指導を徹底するとしている。

 徳島バスによると、問題のバスは9日午後7時10分徳島駅発しらさぎ台行き。同30分ごろ、徳島市城南町の停留所の手前で女性が運転手に「男性に触られた」と訴えた。運転手は「触られた? 誰に」と聞き、そのまま停留所を出発。数分後に女性が再度運転手に訴えたが「はっきり言わないと助けられない」などと言って走行を続けた。

 やりとりを聞いていた他の乗客から「警察に通報すべきだ」と注意され、同40分ごろ、運転手は待避所のある停留所に停車して110番するとともに同社徳島営業所に連絡。約1時間後に女性と男性を除く乗客は代替バスで目的地に向かった。徳島東署が男性を県迷惑行為防止条例違反の疑いで調べている。

 運転手は同社の聞き取りに対し、すぐ対応しなかった理由を「狭い場所で止まりにくかった」などと話したという。

 旅客自動車運送事業運輸規則では、乗務員は客が法令や善良の風俗に反する行為をした場合には制止するなどして車内の秩序を維持するよう努めなければならないと定めている。四国運輸局は「規則に触れる可能性はあるが、努力義務なので違反とは言えない」としている。

 徳島バスは「対応が遅れたことは遺憾。今後、こうした事態には早急に対応するよう指導し、改善したい」としている。