軒並みといっても、例外はあるものだ。しかし車窓を過ぎる岡山県倉敷市真備町の家々は例外なく、窓が取り払われていた。1階も2階も、新築もそうでない家も。西日本豪雨の水害から3カ月がたってなお、日常は戻っていない

 泥水に漬かった家を、風を通して乾かしている最中だという。リフォームで間に合う家、建て直さなければならない家、いずれにしても行政の支援だけでは足りない。重い経済的負担を背負う

 患者や職員が取り残された「まび記念病院」に近い真備町有井の一軒を訪ねた。6人のボランティアが、2階の柱にまでこびりついた泥を、へらでそぎ落としていた。終われば高圧洗浄機で家中を洗い、消毒し、ようやく改築に入る

 家主は60歳の声を聞いたばかり。ここで暮らしてやがて40年。愛着のある実家を残して、と娘に懇願され、新築を見送りリフォームを選んだ

 有形無形の支援に感謝しながら「再びの水害に備え、屋根に上りやすくするつもり。費用の工面が大変です」。市内で全半壊した住宅は約5500棟。多くが同じ悩みを抱える

 市社会福祉協議会によると、一時2千人余りいたボランティアは、平日で100人を切った。だが、まだまだ仕事がある。建設関連の技術を持つ人や、認知症患者らの話を聞くオレンジボランティアが特に必要だそうだ。