心身に重い障害がある18歳以下の重症心身障害児の保護者を対象に徳島県が初めてアンケートを行ったところ、介護を担う保護者の27%が子どもの世話を理由に離職していたことが分かった。保護者が在宅介護に負担を感じているにもかかわらず福祉サービスの利用は進んでおらず、短期入所施設など支援体制の改善が課題として浮かび上がった。
調査は、障害の程度が重い1、2級の身体障害者手帳と、A判定の療育手帳の双方を持つ子どもの保護者115人を対象とし、60人(母親55人、父親3人、祖父母2人)から回答があった。
主に介護を担っているのは90%が母親で、87%が子どもを施設に入れずに自宅での生活を選択していた。介護が大変な場面としては入浴(68%)、食事(50%)、通学(50%)、排泄(48%)などを挙げた。
主に介護を担う保護者の27%が介護を理由に離職しており、就労率は38%。たんの吸引や酸素吸入といった医療面のケアが必要な子どもの保護者はさらに就労率が低く、29%にとどまった。
その一方で、在宅の介護を支援するサービスの利用率は放課後等デイサービスが52%に上ったものの、外出を手伝う行動援護10%、訪問診療15%、短期入所17%、訪問看護17%、居宅介護21%といずれも低かった。
希望する支援策についても、家族による介護を支援する施設の拡充を求める意見が多かった。拡充を必要とする施設は短期入所施設が70%とトップ。デイサービスなど日中一時支援事業所が67%と続いた。
困りごとの記入欄も「短期入所施設が少なく、呼吸器が要ると受け入れてもらえない」「行政などの相談機関にコーディネーターがいない」と、不十分な支援体制に対する不満の声が寄せられた。
県障がい者自立支援協議会会長の岩城由幸徳島文理大教授(障害者福祉)は「短期入所施設などを利用できていない人があまりに多い。行政が中心となって地域の支援体制を充実させていく必要がある」と指摘している。
県障がい者相談支援センターの田中稔所長は「保護者が安心して各種施設を利用できず、保護者が負担を抱え込んでいる実態が見えてきた。調査結果を今後の施策に役立てたい」と話している。