徳島県内24市町村で、大規模災害時に高齢者や障害者などの要支援者を受け入れる「福祉避難所」の指定が進んでいないことが、徳島新聞の調査で分かった。全市町村で、想定される要支援者数より受け入れ可能な収容人数が下回っていた。4月に発生した熊本地震では、指定の少なさや受け入れ態勢の不備などで十分機能しなかったほか、周知が十分でなかったため一般の被災者が詰め掛けた所もあった。近い将来の南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中、自治体の対応が急がれる。

 全24市町村が計156カ所を指定している。阿南市が40カ所と最も多く、次いで徳島市が21カ所、吉野川、三好両市が11カ所だった。藍住、勝浦両町と佐那河内村は1カ所だけだった。

 収容人数は、徳島市が最多の1155人で、阿南市360人、板野町340人だった。美馬市など6市町は「施設の被災状況や介護士の確保の状況による」などと人数を定めていない。

 要支援者数が市町村によってばらつきがあることも判明した。最多は鳴門市の1万3146人で、人口が同市の4倍ある徳島市は7601人にとどまる。よく似た人口規模でも三好市と美馬市は6倍の開きがある。県地域福祉課は「各市町村で要支援者の基準や対象を決めているためではないか」とするが、違いの大きさに住民からは疑問の声も出そうだ。

 福祉避難所には、職員配置や設備が必要で、民間の福祉施設を指定するケースが多い。このため、近年指定数は増加しているものの、多くの自治体が「指定可能な施設が不足している」として伸び悩んでいる。

 全24市町村が指定状況について「十分ではない」と回答。今後の方針については、8市町が「増やす」と前向きに検討しているが、半数以上の14市町村が施設不足から「増やしたいが、現状では難しい」とした。