住民や企業が納める市町村税の2016年度の滞納額(収入未済額)は、県内24市町村で合わせて54億1789万円となり、5年前より30億円減少していることが、徳島新聞のまとめで分かった。少子高齢化と人口減の影響で納めるべき税額は減っているものの、徴収率が94・4%と2・5ポイント向上しており、自治体の徴税対策が成果を上げた面もあるようだ。時効を迎えるなどして回収不能となった不納欠損額は、1億円減の4億6717万円だった。
16年度の滞納額を税目別にみると、所得額に関係なく課税される固定資産税が最も多く34億8957万円。次いで個人市町村民税の12億2639万円、軽自動車税の2億1312万円など。
滞納額は23市町村で11年度を下回った。減少率が70%と最も高かった東みよし町は、預貯金や保険、給与などの差し押さえが、11年度の1件から53件に増加。66・0%減の北島町でも、6件から79件に増えた。
両町は「(県と市町村が共同で徴収に当たる)徳島滞納整理機構に出向した職員の徴収技術が向上した」などとしている。
唯一、49・9%増となった牟岐町は、大口の企業倒産があり、固定資産税の滞納額が膨らんだ。
市町村から年間約450件の徴収を引き受けている徳島滞納整理機構の16年度の徴収額は1億8579万円(徴収率48・8)%で、11年度の2億4055万円(55・9%)より落ち込んだ。
担当者は「市町村や機構による滞納整理が進み、近年は差し押さえ可能な財産がないなど困難な案件が増えている」と話す。
時効(5年)や生活困窮などで回収を諦める不能欠損額が減ったのは、吉野川市や石井町など13市町。このうち小松島市は過去5年間の滞納案件に催告書を送り、時効成立前の納付を呼び掛けている。阿南市は県職員の長期派遣を受け、財産調査や差し押さえを積極的に実施した。
これに対し、不能欠損額が増えた美馬市や三好市など11市町村では、「大口の企業倒産のほか、納税者が所在不明になった」(美波町)「無財産の滞納者について、執行停止などの徴収緩和措置を行った」(鳴門市)などとしている。
徴収率アップに向けては、徳島市が自動車の差し押さえやインターネット公売に取り組んでいるほか、鳴門市が売掛金や賃料、委託報酬などにも差し押さえ対象を広げている。阿波市や上板町など6市町は、未収金の解消を図る内部組織を設けている。
今後の課題では「小規模自治体は人員が限られ、徴収技術の継承が難しい」(つるぎ町)、「国外に転居した外国人や相続放棄した納税義務者への追及が困難」(阿南市)などの意見があった。