[上]摘んだ茶葉を釜でゆでる森さん=那賀町延野[下]釜でゆでた茶葉を揉捻機でもむ高橋さん=那賀町延野

 那賀町地域おこし協力隊員の高橋知己(ともみ)さん(40)と森容子さん(31)が、同町相生地区特産の「相生晩茶」の生産を始めた。釜ゆでした茶葉を乳酸発酵させる独特の製法で、近年は健康茶としても人気があるが、農家の高齢化などで生産量が減少。「何とか産地を守りたい」と、農家に茶畑や道具を借り、製法を教わって技術習得に励んでいる。

 2人は7月から生産農家で技術を学び、8月16日からはJAアグリあなんの協力で農家4戸から茶畑の一角を提供してもらって茶葉計約500キロを収穫した。釜ゆでや、揉捻機(じゅねんき)と呼ばれる機械で茶葉をもむ「茶摺(す)り」、茶桶(ちゃこが)への漬け込みなどの作業を行い、31日には天日干しした。できた相生晩茶は、JAが販売するほか、催しなどで配る。

 町によると、相生晩茶の生産農家は統計の残る2002年には60戸あったが、16年には30戸に減少。生産量(製品ベース)もピークだった1970年の110トンから約7トンにまで激減している。

 近年は、全国放送のテレビ番組で整腸作用など健康への効能が紹介され、注目が高まった。しかし、「生産過程が過酷で担い手がいない」(JAアグリあなん)という。

 高橋さんは仙台市出身で、10年ほど前から茶の効能などに興味を持ち、富山から鹿児島まで全国十数カ所の茶どころを訪ねた。那賀町にも約4年前に訪れ、相生晩茶の農家で後継者不足が深刻な現状を知り「こんな素晴らしいお茶がなくなるのは納得できない」と、退任後の就農を視野に協力隊に応募し、4月に着任した。

 15年4月から隊員を務める同町出身の森さんも「飲み慣れた相生晩茶を守る手助けができれば」と、一緒に取り組むことにした。2人は来年は茶畑の整備から取り組む。

 茶畑と茶桶を提供した元生産農家の大下敏雄さん(88)=同町入野=は「炎天下の作業で体力的にも厳しいが頑張ってほしい」と話す。JAも2人が後継者育成のモデルとなることを期待している。