美波町日和佐浦の大浜海岸で、今年のアカウミガメ産卵シーズンがほぼ終了した。保護規制期間(5月20日~8月20日)に上陸したのは7匹、このうち産卵したのは2匹だった。連続した観察記録が残る1967年以降、上陸数は2006年の2匹に次いで2番目に少なく、産卵数は同年と並んで最少となった。
町ウミガメ保護監視員によると、初上陸は6月1日、初産卵は同2日で、観測史上最速だった昨年より1カ月遅かった。上陸数は6月は6匹だったが、例年はピークとなる7月は1匹と低迷し、8月は0匹だった。
15匹が上陸(うち産卵したのは12匹)した昨年は、5月1匹、6月3匹、7月9匹、8月2匹だった。
減少した要因について、日和佐うみがめ博物館カレッタの田中宇輝(ひろき)学芸員(30)は、複数回にわたり上陸、産卵を行う中・大型の個体(甲羅の長さ85センチ前後)の接岸が少なかったと指摘する。ただ、海水温など気象面で考えられる要因はなく、「ウミガメが普段いる東シナ海で個体が減っている可能性がある」と話した。
産卵は6月1、24日に個体の違う2匹だった。カレッタはこのうち1日に産み落とされた卵を、高潮の影響を受けない内陸側の場所や、カレッタの人工ふ化場に移した。卵は8月2、14日にそれぞれふ化した。
大浜海岸は、ピークの1968年には308匹のウミガメが上陸した。しかし、96年に34匹となって以降は2桁に低迷している。
カレッタの蔵田智哉館長(40)は「減った原因を調べ、増えるように対策をしていきたい」と話した。