作業の合間に談笑する石川夫妻(左側)と学生ら=勝浦町三渓

作業の合間に談笑する石川夫妻(左側)と学生ら=勝浦町三渓

 4月に東京都から勝浦町三渓に移住した石川翔さん(27)美緒さん(29)夫妻が、築105年の古民家を自ら改修して農家民宿を始めようと準備を進めている。町外から訪れた人と町民が触れ合う場所が少ないと感じたためで、地域住民や県外の大学生の協力を得て、来春のオープンを目指す。

 石川さん夫妻は昨年都内で行われた移住フェアに参加したのをきっかけに、勝浦町に移住。町内のミカン農家から空き家だった古民家(木造2階建て、延べ床面積130平方メートル)と果樹畑50アールを借り受けた。古民家を整備する中、海外や県外から訪れた人が泊まる施設が少ないと感じ、改修して民宿を始めることを決めた。

 計画を知った、移住体験スペース「田舎トライアルハウス坂本家」(同町坂本)を手掛ける大友和紀さん(42)が賛同。地方の暮らしを調査する適地を探していた法政大現代福祉学部の学生に、民宿作りへの協力を呼び掛けた。

 学生5人は8月22日夜から24日朝まで町内を訪れ、石川夫妻や地元住民らと共に、2階の壁を塗り直すなど改修作業に汗を流した。学生は作業の合間に、移住した経緯や町での生活について夫妻に尋ねたり、畑でスダチの収穫を体験したりした。

 1年の秋葉大聖さん(18)=東京都武蔵野市=は「地域の新たな拠点づくりに貢献できてうれしい。地方を元気にするヒントを学べれば」と話し、今後も手伝いに訪れるつもりだ。

 翔さんは「町内外問わず、多様な視点を持った人と協力して民宿を作っていく。農業体験やさまざまな催しを楽しめる場所にしたい」と意気込んでいる。