日本農業新聞は日刊の農業専門紙だから、スポーツの話題はまず載らない。だがこの夏、甲子園を沸かせた秋田県の金足農業高校の活躍を積極的に報じ、読者を驚かせた

 第100回の記念大会に農業校が出場したため、初めて本格的に甲子園を取り上げたという。切り口が面白い。1回戦勝利の記事に登場したのはエース、吉田輝星投手の祖父。農業を営んでいない両親ではなく、ナシ農家の祖父に焦点を当て「農一筋 祖父感涙」の大見出しを添えた

 3回戦で逆転の3点本塁打を放った殊勲の選手は「学校では鶏の飼育などを担当」と紹介。ふんを一輪車で運ぶ畜舎清掃が腕と背筋を鍛えた―と教諭の話を盛り込んだ。準優勝をたたえた記事の見出しは「農で培った底力発揮」

 中心となって取材した記者は前田大介さん。中身をとにかく農業に絡め、一般紙などの報道と差をつけた。金足農の活躍が農家を奮い立たせたことを喜び「連日”全力報道“したかいがあった」と日本新聞協会の機関紙で感想を語っている

 新聞週間が始まった。「真実と 人に寄り添う 記事がある」が代表標語。農業愛に満ちた前田さんの記事はまさに、と思い紹介した次第だ

 本紙が寄り添うのは「徳島」をおいてほかにない。県民のために何をどう伝えるか、農業新聞の記事を読み返しては思案している。