安倍晋三首相が2019年10月に消費税を予定通り10%に引き上げると表明したことを受け、徳島県内の経済関係者からは「国の財政の先行きが不透明な中、増税の先延ばしは許されない」と、一定の評価をする声が上がった。一方、増税時に外食・酒類を除く食料品を8%に据え置く軽減税率について、運用を巡り混乱を懸念する意見も聞かれた。
 
 県中小企業団体中央会の布川徹会長は「これまで増税を2回先延ばししてきた。今度こそ実行しなければ、ツケを次の世代に多く払わせることになる」と指摘し、「景気が腰折れしないよう、政府には経済対策をしっかりやってもらいたい」と力を込めた。

 県商工会議所連合会の中村太一会長も「社会保障費が増大する中でやむを得ない」とする。その上で、「増税と軽減税率の導入に加え、来年は元号の変更もあり小売店などは新たな投資が相次ぐ。小規模な事業所では負担が大きく、廃業も出かねない」として支援の充実を求めた。

 「増税による消費への影響より、軽減税率がどのように運用されるのかが心配」と話すのは、県内スーパー大手・キョーエイ(徳島市)の埴渕恒平専務。買った物が店内で食べられるイートインコーナーは軽減税率の対象外となる方針だが、同社もコーナーを設けている店舗がある。レジシステムの改修やスタッフの教育などの対応も迫られる。「政府にはまず消費者が混乱しないよう制度設計をしっかりしてほしい」と訴えた。

 住宅や車といった高価な耐久消費財は増税前に駆け込みで購入する例が多く、8%に増税された14年は反動で販売が冷え込んだ。住宅建築のはなおか(北島町)の花岡秀芳社長は、低金利を背景に住宅着工が高水準で推移してきたことなどから影響は14年より少ないと見る。ただ「これまで『先食い』をした需要の頭打ちが始まっており、厳しくなっていくことに変わりはない」と不安を示した。

 県内経済への影響について、徳島経済研究所の荒木光二郞専務理事は「税率の引き上げ幅が大きい前回より影響を抑えられるかもしれないが、幅広い業種でマイナスの影響が及ぶ」と分析する。経済対策は、特に住宅や自動車関連といった高額なものは効果が切れた時に反動減も大きくなるとして、「景気の振れ幅を大きくしないよう施策を進めてほしい」と話した。