映画「青空エール」をPRする三木監督=徳島新聞社

 映画「青空エール」をPRする三木監督=徳島新聞社

 阿波市出身の映画監督、三木孝浩さん(42)が6日、部活動に打ち込む高校生の恋と友情を描いた最新作「青空エール」(シネマサンシャイン北島などで公開中)のキャンペーンで帰県した。徳島県庁で記者会見後、徳島新聞のインタビューに応え、「ひたむきに頑張る姿が誰かの背中を押し、一生懸命応援することで自分も力をもらう。互いに影響し合うことを描きたかった」と作品に込めた思いを語った。 

 「青空エール」は、河原和音さんの同名漫画が原作。初心者ながら吹奏楽部の強豪校でトランペットを始めたつばさ(土屋太鳳さん)と、甲子園を目指す野球部員大介(竹内涼真さん)が思い合い、それぞれの夢に向かう姿を描く。

 けがや部員同士のぶつかり合いを乗り越えて心を一つにする様子は、部活動経験者の多くが共感できるところ。三木監督も、土成中学校で卓球部、阿波高校では演劇部に所属した経験を思い出して撮影した。「野球も吹奏楽もチームプレーで、部員一人一人に物語がある。仲間でありライバルでもある部員が、どうやって同じ熱量で夢に向かうか。群像劇としてそれぞれに思いを重ねてほしい」

 タイトルにもある青空は「突き抜けるブルースカイが観客の記憶に残れば」と意識的に描写。吹奏楽のコンクール課題曲も「ブルースカイ」で、クライマックスで印象的に奏でられる。

 映像ならではの表現にこだわった、臨場感が見どころ。野球の試合の場面では、通常は別々に撮影する選手と応援席を一度に映し、練習シーンは、野球部の掛け声や楽器の音色が互いに聞こえることで思いが寄り添う様子を音に込めた。

 ロケ地には徳島に似た風景を選ぶことも多く、古里への愛情は深い。「敬愛する大林宣彦監督のように、いずれ古里を舞台にした映画を撮影したいけど、思い出が強すぎてまだ照れがある」。今作は、グラウンドから校舎を見上げた印象が母校土成中学校と重なる学校に撮影場所を決めた。

 12月には新作の公開を控え、一層の活躍が期待される。「どの作品にも、思春期に徳島で見た風景や経験した思いが反映されている。幅広い世代の人に見てほしい」と話した。