中央の空き地が水の花荘の移転地。奥の建物は相生小学校=那賀町延野

 2014年8月の豪雨で浸水被害を受けた那賀町鮎川の特別養護老人ホーム・水(すい)の花荘(定員60人)が18年4月をめどに同町延野に高台移転することが6日、分かった。1日に岩手県を襲った台風10号では、濁流に巻き込まれた高齢者施設で9人が犠牲になるなど社会的弱者の防災対策が問われている。町は用地の無償貸与や新築費の助成などで支援し、官民が連携して高齢者の命を守る。

 移転先は、現在地から約500メートル上流の小高い丘陵地。相生小学校に隣接し、標高は90・8メートルで現在地の74・4メートルより15メートル以上高い。町によると、過去に浸水被害を受けたことがないという。

 約1万平方メートルの敷地に、木造平屋3874平方メートルの新施設を建てる。用地のうち約5265平方メートルを町が3千万円で購入し、無償貸与する。建築費は町と県が各7500万円、国が4270万円を補助する。

 また、町が指定管理者を通して運営していたデイサービス(1日最大18人)とグループホーム(定員9人)を集約し、水の花荘を管理する社会福祉法人丹生谷会に運営を任せる。新しい水の花荘の敷地内に施設を設け、建築費約1億5600万円のうち町が約1億2400万円を負担する。
 町は、これらの関連予算として約3億8000万円を2016年度一般会計補正予算などに盛り込み、6日開会の町議会9月定例会に提案した。

 総事業費は約10億円で、丹生谷会の負担は約6億4200万円の見通し。10月以降に造成工事に着手し、17年3月ごろ着工、18年3月に完成し4月の開業を見込む。

 水の花荘は那賀川沿いにあり、14年8月10日に徳島県を縦断した台風11号による豪雨で、床上最大1・4メートルの浸水被害を受け、高台への移転を検討していた。

 坂口博文町長は「高齢化が進む町で必要な施設であり、できる限りの支援をした」と話した。的場公也施設長(59)は「高台移転のめどがつきほっとしている。今後も利用者の一層の安全を図りたい」と話している。