車いすを押しながら、1番札所・霊山寺の石段を下りる灘さん=鳴門市大麻町

 身体障害者や外国人が快適に札所巡りができる環境整備を訴え、四国八十八ケ所霊場会の公認先達、灘健二さん(67)=奈良県王寺町=が6日、鳴門市大麻町の1番札所・霊山寺から“啓発巡礼”をスタートさせた。道中、車いす用のスロープ設置や、トイレの洋式化を各札所に求めていく。境内では車いすを押して身障者や介助者の目線で改善点をチェックし、全札所を網羅した身障者向けの冊子づくりも計画している。

 灘さんは霊山寺ではかかしを乗せた車いすを押し、石段を上がる苦労を体験。早速、寺の関係者にスロープ設置を訴えた。初日は11番・藤井寺(吉野川市鴨島町)まで進み、身障者、外国人のいずれもが重宝するトイレの洋式化や温水洗浄便座の整備を求めた。道中は車で移動し、10日間ほどで結願を目指す。

 4番・大日寺(板野町)の眞鍋栄学住職(47)は「実体験を通した声や要望が届くことで、各寺の意識も変わるのでは」と期待する。

 灘さんは10年ほど前に母親の供養にお遍路を始め、8月には109回目の結願を果たしたばかり。公認先達でつくる「88トイレの会」の一員として、各寺にトイレの水洗・洋式化を求める活動にも取り組んできた。

 これまで、石段があって本堂まで近づけない車いすのお遍路さんを、何度も目にしてきたという灘さん。8日にはパラリンピック・リオデジャネイロ大会が開幕するなど、身障者の社会参加が注目を集める中、「身障者や外国人に優しいお寺」の実現へ、啓発行脚を思い立った。

 灘さんは「4年後には東京五輪・パラリンピックも控えており、身障者や外国人参拝者は今後も増える。粘り強く訴えていきたい」と話している。

 ガイドには、各札所境内の見取り図に車いす用の迂回路や寺の見所などを盛り込み、インターネットなどを通じて無料配布する方針だ。