鳴門、神山、美波、海陽の各市町に、東京や大阪のIT企業、デザイン会社など計7社がサテライトオフィス(SO)を開設する。鳴門市と海陽町にSOができるのは初めてで、神山町は県内最多の16社、美波町は14社になる。県内のSOは2011年に神山町で第1号が開設されたのを皮切りに、8市町の40社へ広がった。
海陽町では、大阪市で税理士事務所を開く中川正博さん(49)が近く、同町鞆浦のアパートに新事務所を立ち上げる。住居も同町宍喰浦に移し、インターネットを利用して大阪の顧客に対応する。中川さんは趣味のサーフィンを楽しむため、10年以上前から頻繁に同町を訪れており、15年末ごろからSOの設置を検討していた。
鳴門市に開設するのは、IT会社「セカンドファクトリー」(東京)。飲食店などを対象に注文履歴を蓄積・分析できるシステムの構築支援などをしており、同市撫養町黒崎の空き店舗を使い、10月下旬の業務開始を目指している。社員数人が常駐し、地元でも1年以内に10人ほどを雇用する予定。
神山町には、ウェブ関連事業の「モノサス」、3Dモデリングを行う「TERADA3Dワークス」、アプリ開発の「フィッシュグローヴ」(以上東京)、デザインオフィスの「AUN(あうん)」(大阪府茨木市)の4社が9、10月に進出。それぞれ古民家や製茶工場跡に入る。一方、町内から1社が海外展開に伴って撤退する。
美波町には、インターネット広告の「ブックスタンド」(大阪市)が10日、空き家を改修してSOを開設させる。既に職員2人を地元採用しており、今後2年で10人の採用を計画している。
県内へのSOの進出は、地上デジタル放送移行時、難視聴対策として光ファイバーによるケーブルテレビ網が全域に整備されたのがきっかけとなって進んだ。市町村別では、鳴門、神山、美波、海陽のほか三好に5社、徳島、阿南、牟岐に各1社がある。