徳島県内の自治体首長が、役員などを務める団体の会議に出席した際、交通費がかかっていないのに費用を受け取っていた問題は、15市町長が計10団体に総額約112万円を返還する事態になった。各首長は「日当、報酬と思い込んでいた」「交通費とは思わなかった」などと口をそろえ、“うっかりミス”であるかのように主張するが、かえって公金を巡る認識の甘さが透けて見えてくる。

 徳島新聞の取材で、10日までに判明した首長の返還額と各団体への返還総額は≪別表≫の通り。返還額が最も多いのは東みよし町の川原義朗町長で、県市町村総合事務組合など4団体に33万6875円を返した。那賀町の坂口博文町長の24万8662円、阿波市の野崎國勝市長の17万3549円と続く。

 一連の問題は、野崎市長と川真田哲哉・吉野川市長が8月9日、県市町村職員共済組合に、交通費を返還したことで判明。「移動手段に公用車を使っていたにもかかわらず、交通費を受給していたのは不適切」との市民オンブズマンとくしまの指摘によるものだ。以後、報道などを受けて他の首長も調査を始め、返還が続いた。

 一方、石井町の小林智仁町長のケースでは、町と団体から旅費を二重に受給していた。小林町長を含む5人が各市町議会9月定例会で謝罪している。

 市民オンブズマンとくしまの大久保初子代表は「あまりに多くの不適切な受給が明らかになり、驚いている。支給側、受給側の双方が公金支出に対する意識を変えなければ、問題はなくならない」と話している。