阿南市の岩浅嘉仁市長ら官民の関係者でつくる協議会が、国に要望活動を行うため2014年11月に上京した際、同行した市秘書広報課職員の旅費として市が用意した現金7万4980円が1年1カ月余りにわたって課の金庫に放置されていたことが14日、市への取材で分かった。職員分を含む旅費は協議会が支払ったため、金庫の現金は宙に浮いた形となっていたという。この要望活動の費用を巡る民事訴訟が15年12月に起こされたのを機に金庫を整理していて偶然見つかったといい、市は「不適切だった」としている。

 市秘書広報課によると、要望活動は新しくできる阿南医療センターに関する内容で、市地域医療確立対策協議会が14年11月4日から1泊2日の日程で行った。市長の秘書を務めていた男性職員の旅費は市が支出することになっていたため、課の会計事務担当職員が市会計課に旅費相当額の出金を請求。出発前に現金で受け取り、旅行会社への支払いに備えて金庫にしまっていた。視察が終わった後の11月19日、会計担当職員は旅行会社への支払いがまだだったにもかかわらず、書類に「精算済み」と記入し、支払ったことを示す手続きをした。

 実際には、阿南商工会議所に事務局が置かれている協議会が職員らの旅費を支払ったため、市に請求書は届かなかった。このため、現金は支払いに充てられることなく、金庫に入ったままとなっていた。

 15年12月、喜多啓吉市議が岩浅市長を相手取り、要望活動の実費以外の額を返還させるよう求めた訴訟を起こした後、秘書広報課職員が現金を見つけた。同課は同月28日付で現金を市に返納した。

 米田勉課長は「会計事務上、不適切な処置だった。今後は請求の確認を徹底し、再発防止に努めたい」としている。