鳴門市と北島町が、水道事業の広域化に向けた協議を始めた。それぞれが所有する浄水場を集約し、共同で維持管理する方式が検討されている。4月に北島町が申し入れ、9月9日に両市町担当課の職員で問題点や可能性を探る「鳴門市・北島町水道事業広域化協議会設立準備会」を立ち上げた。水道事業の広域化が実現すれば、県内では初めて。
鳴門市と北島町の浄水場は同町高房の旧吉野川を挟み、北岸と南岸に向かい合わせるように位置している。完成から鳴門市が41年、北島町が36年経過し、互いに建て替え時期となっている。これまで水質検査を連携して行ってきたことや、コストの縮減が期待できることから、集約化に向けた検討に乗り出した。
準備会では鳴門市の浄水場を建て替えて北島町へ送水する方法を軸に議論し、年度内に結論を出す。
15日開会した鳴門市市議会9月定例会では、泉理彦市長が所信表明で準備会を設けたことを明らかにした上で「安全な水道水を安定的に供給できるよう、広域化の検討をはじめとする各種施策に取り組んでいく」と話した。
北島町は2016年度水道事業会計補正予算に、旧吉野川の川底に送水用の管を敷設した場合の工事費を試算する設計委託費200万円を計上し、町議会9月定例会に提案している。
藤本宏副町長は「メリット・デメリットを勘案して、最良の方法が選べるよう、今後検討していきたい」と話している。
水道事業の広域化は、財政難や人口減少などに伴い全国で動きがある。香川県では、岡山県から受水する直島町を除く全16市町と県が17年に企業団を設立し、経営の効率化を図っている。